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本性全開!カクヨム発の女好き&酒好きVtuberラノベが楽しすぎる!

ライター

 1978年7月30日生まれ。男性。活字中毒。栗本薫『グイン・サーガ』全151巻完読。同人誌サークル〈アズキアライアカデミア〉の一員。月間100万ヒットを目ざし〈Something Orange〉を継続中。

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『VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた』。

 世の中には気の迷いということがあるもので、普段、読まないジャンルの作品を何げなく買うこともありえますよね?

 ぼくもたまにそういう経験をするのですが、その結果、「なんじゃこりゃ?」となることもあれば、「新境地の開拓成功!」と大喜びすることも。

 で、今回、その気まぐれで、ほんとうに何となくいま話題のライトノベル『Vtuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた』を読んでみたのですが、結果としては「なんじゃこりゃ?」+「新境地の開拓大成功!」の体験でした。

 やばい、何これ、めちゃくちゃ面白いよ!

 プロットとしては単純で、あるとき、「清楚系」心音淡雪がVTuberが配信後、放送をオフにすることを忘れたまま、女好き&酒好きの本性丸出しのプライベートを発信してしまい、何とトレンド世界1位に。

 しかし、その下品なキャラクターがウケてしだいにトップVTuberへとのしあがっていくというサクセス・ストーリー。

 でもまあ、この場合、ストーリーとかはどうでも良くて、ひたすら主人公・心音淡雪の本性丸出しのトークとそこへのコメントが続くところに面白さがある。

 いや、ぼく的には非常に面白い作品だったんだけれど、この魅力をどう説明したら良いものやら。あらすじをいくら話してもこのばかばかしさとくだらなさは絶対に伝わらない。

 ひさしぶりに「まずは読んでね!」といいたくなる作品です。

ディープでクレイジーなオタクネタのかずかず。

 それにしても、ネタのひとつひとつがやたらディープ。

 作中に特に注釈もなくさまざまなオタクネタが山のように登場するのは、いまとなってはこの手のライトノベルの定石といっていいくらいで、特別めずらしいことではないのでしょうが、この作品の場合、ほんとうに一切、オタクではない読者に配慮がなされていない。

 だから、仮に「Vtuberって何だろう?」というレベルの人が読んだとしたら、ひたすら「ぽかーん」とするしかないでしょうし、何が面白いのかもさっぱりわからないでしょう。

 そういう意味では純度100パーのオタク向け作品、そのあまりの濃さから、作者も書籍化は不可能だろうとあきらめていたくらいらしいのだけれど、富士見ファンタジア文庫がみごと拾い上げてこのたび、大ヒットしているそうです。

 いやあ、世の中ってわからないものですね!

 でも、一作目から爆発的にヒットするだけあって内容はほんとうに面白くもくだらないので、「人間、生きるべきか死ぬべきか?」とか悩んでしまったときにはぜひ読んでいただくと良いかと思います。もうそういうのどうでも良くなるから。

 主人公自身も最初は人生が行き詰まっていて悩んでいるんだけれど、ストーリーが進んでいくにつれて、もう悩みも何もないところまで行ってしまいます。

 そういう意味ではほんとにお気楽な話で、ドラマツルギーも何もない。だが、そこがいい。ライトノベルかくあるべしという快作です。

なぜぼくはVTuberのファンにならないのか?

 ただ、この作品を読み終えてみて、「やっぱりぼくはVtuberのファンになるタイプじゃないんだな」というようなことが、逆説的ではありますがわかりました。

 Vtuberネタの小説とか、アイドルネタのマンガとか、そういうものは大好きなんだけれど、じっさいにVtuberやアイドルのファンになるかというと、まずならない性格なんですね。

 なぜかといえば、やっぱりその人物の「裏側」とか「素顔」が見えていないと好きにならないタイプだからだと思う。

 世の中には「推し」のために生きているという人がたくさんいてうらやましくないこともないのですが、ざんねんながらぼくはそういう属性ではない。

 というのも、Vtuberのキャラクターを素直に受け入れることができないんですね。「ほんとうにこの人、こんな性格なのかな? 作っているものなんじゃないかな?」という疑いが抜けない。

 もちろん、それはある種の幻想であることをわかった上で、それでもなお楽しむ性質のものであるのかもしれないけれど、ぼくにはそういうことができないんですよね。

 それに対し物語というかフィクションの場合、そのキャラクターの「裏面」がしっかり描き込まれているので、ある種、安心するんですね。

 これはまあ、良し悪しの問題じゃないのだろうけれど、ぼくがリアルの人物にハマりきらない理由がわかったように思いました。

 そういう意味でもちょっと斬新な読書体験でした。ほんとにめちゃくちゃくだらない話なんだけれどねー。

『俺妹』から『着せ替え人形』まで。

 いわゆる「オタク自己言及ネタ」の作品は、ひとつライトノベルに限らず無数にあって、ぼくはわりと好きでずっと読んできているのですが、この頃、そのジャンルもだいぶ趣きが変わった気がします。

 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の頃は、オタク趣味は「隠すもの」であったり、「嫌われがちなこと」であったりしたわけですが、いまやオタクであることは特に若者にとっては多数派ですらあるわけで、時代は変わったというしかありません。

 その種の「オタク自己言及系」の金字塔である『ヲタクに恋は難しい』は次巻で完結するらしいし、そろそろまた時代が変わろうとしている予感がします。ここら辺で何か決定的な傑作が出て来てくれると、楽しいだろうな。

 個人的に注目しているのが『その着せ替え人形は恋をする』で、これはまさに新しい時代を象徴する傑作というしかありません。

 全巻面白いけれど、特に第六巻、第七巻あたりからはその面白さにブーストがかかった感じ。とくにかくでたらめに素晴らしい。

 ほんとうにすごくリベラルな時代が来ているんだなあ、と実感させられるマンガです。

 あと、『オタク同僚と偽装結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど!』も面白いですね。

 こっちは腐女子ネタなので読む人を選ぶかもしれないけれど、まあ、楽しい。オタクにとっては過ごしやすい良い時代が来ているなあ、とほろりとしてしまいます。

 さて、「次」はどっちだろ? 楽しみですね! でわ!

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 それでは、またべつの記事でお逢いしましょう。

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