豊作な今年を代表するアニメ映画を10作選んでみました。
ここ数年、『君の名は。』のスーパーヒットに象徴されるように、アニメ映画が豊作です。
そのなかにはたしかに凡作も多々あったものの、平均的に見ればかなりのハイレベルが実現しているといって良いでしょう。
そして、歴史に残るような傑作もまたいくつも生まれているのです。
この記事では、2021年のアニメ映画のなかでも記憶に残った作品を取り上げて語っていきたいと思います。
どうしてもヒット作が中心となってしまっていますが、なかにはまったく注目を集めなかった作品も混じっています。
評価の基準は、あくまで他人の決めた良し悪しではなく、「自分が面白かったかどうか」、これだけ。
そういうわけで、以下に挙げた作品はいずれもぼくが見て面白いと思ったものとなっています。
来たる2022年も面白いアニメ映画をたくさん見れる年になりそうで楽しみですね。これからも末永く質の高いアニメ映画が作られていくことを祈るのみです。
『ガールズ&パンツァー最終章』第3話


ほぼ2年に一度というペースで新作が公開されつづけている『ガールズ&パンツァー最終章』。
毎回、凄まじいクオリティのアクションで観客を楽しませてくれているわけですが、この第3話もいままでにもまして楽しい作品でした。
一見すると女の子たくさんのコメディ作品としか見えないわけですが、その実、些細なディティールにまでこだわり抜いた戦車戦の描写はハードでクール。
ほんとうに安全性が確保されているのか怪しく思われてきます。いや、絶対、死者が出ているだろ、あれ。
それにしても、この作品、いったいいつになったら完結するのでしょうね? まだ数年はかかることはたしかだと思われますが……。
『Gのレコンギスタⅲ 宇宙からの遺産』


『機動戦士ガンダム』シリーズの最新作『Gのレコンギスタ』、その劇場版第三弾です。
じつに40年を超えて続いているアニメ史上にも他に類例のない超長大なシリーズだけあって、だいぶ時代からズレた雰囲気を感じますが、富野アニメ独特のかみ合っているのかいないのかわからないやり取りは健在。それだけでも楽します。
じつはぼくはこの前作と前々作を見ずにいきなりここから見始めたので、さっぱりわけがわかりませんでした(笑)。
ただ、アムロやシャアが戦いを繰りひろげた時代からはるかに未来の時代を舞台に、軌道エレベーターのその先の宇宙空間での権力争いを描いていることはわかった。
『ガンダム』は変わらないですね。
『サイダーのように言葉が湧き上がる』


ひととのコミュニケーションが苦手な俳句少年と、コンプレックスの前歯を隠しているマスク少女のひと夏の出逢いと恋を描いた映画です。
あたかも80年代を彷彿とさせるシティポップなカラーリングは斬新で、見ていて楽しい一作となっています。
ただ、現代日本の雰囲気を反映してのことか、画面には老人が多く、明るいラブコメディであるにもかかわらず、奇妙に「死と衰退」の空気を感じさせる作品でもあります。
ここら辺、どこまで計算しているのか。しかし、そのよどんだ空気のなかでも少年と少女はひと夏の恋に夢中になるのです。
デートムービーにふさわしい映画といえるのではないでしょうか。
『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』
今年の『クレヨンしんちゃん』はすごい、と話題になっていたので観に行った映画です。
結論としては、たしかになかなかの出来。『クレヨンしんちゃん』の映画の歴史上でもかなり上位に入って来るのではないでしょうか。
ぼくは『モーレツ大人帝国の逆襲』もあまり高く評価しない人なのですが、この映画は楽しめました。
今回はミステリ仕立てということで、そこそこフェアな(?)謎解きが繰りひろげられるわけですが、まあ、それよりやっぱり青春友情ものとしての出来ですよね。
テーマはなかなかに奥深い。ただ、『クレヨンしんちゃん』シリーズの一作である以上、どうしてもある点でストップがかかってしまうのは残念でした。
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』
『Gのレコンギスタ』と同じ『機動戦士ガンダム』シリーズの映画です。
このシリーズ、およそ40年も続いているうえに、建て増しに建て増しを重ねた設定のため、いったいどれがいつの時代の話なのか初心者にはわかりづらいことになっていますが、この作品は往年の名作『逆襲のシャア』から数年後が舞台。
テロリストとなって地球連邦に立ち向かうハサウェイ・ノアが主人公。
いままでの『ガンダム』にないリッチでリアルな映像が見どころですね。
ただ、ストーリー的には行き止まりも良いところで、ある種の閉塞感をただよわせることになっている印象です。
あるいはそれが現代的なのかもしれませんが……。
『竜とそばかすの姫』
細田守監督の最新作です。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』と並ぶ今年最大の話題作といって良いでしょう。
インターネット上の仮想空間を舞台にした物語ということで、見る前は同じ監督の『サマーウォーズ』に近い筋書きなのかと思いますが、じっさいに見てみると、まったく違う作品でした。
テーマ的には、例によって家族のあり方がひとつの焦点となっています。
クライマックスの展開は賛否両論で物議をかもしましたが、終わってみれば細田監督の作品のなかでも最大のヒット作に。
ゴージャスでありながらどこか切ない音楽も見どころで、それも含め独創的な世界を作り出した映画だと思います。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』
『ガンダム』ほどではないものの、長々と続いて来た『エヴァンゲリオン』シリーズの完結編『シン・エヴァンゲリオン劇場版』です。
『エヴァ』の完結はアニメ映画の歴史のなかでもまずめったにない「事件」であり「イベント」だったといって良いでしょう。
その結果は、賛否両論はあるものの、多くの人を納得させるだけの傑作だったといって良いと思います。
シンジ、アスカ、レイ、ミサト、ゲンドウら、各登場人物の人生にもひとつの終止符が打たれ、ここに『エヴァ』は完全に完結することになったのでした。
興行収入も100億円を越え、ロボットアニメ史上最大のヒット作ということになりました。
『100日間生きたワニ』
Twitterで爆発的に話題となり、ついに映像化するに至った『100日間のワニ』です。
しかし、この映画については見てもいない人たちによるほとんど中傷の域に達する酷評のほうが話題となり、映画そのものの的確な評価が困難になるほどでした。
ネットではこういった、ある種の「空気」によって「これは叩いて良い」とみなされたものに対する集中的な攻撃が問題になっています。
それでは、じっさい、どのような映画だったのか?
結論からいうと、短編ながらなかなかに端正な作品でした。歴史に残るような傑作ではないにしろ、スタンダードによくできた一作といって良いでしょう。
ひとの評価はあてになりませんね。
『劇場版 少女☆歌劇レビュースタァライト』
『エヴァ』や『竜とそばかすの姫』が今年のアニメ映画最大の話題作なら、こちらは最高の問題作ということになるでしょう。
タイトルの通り、「少女歌劇もの」ではあるのですが、うん、歌劇というよりひたすらバトル(殺し合い)を続けていたよね。
まあ、そのあいだに歌も歌っていたことはたしかだったけれど、いったい何を目的にしたどのようなストーリーだったのか、ぼくはいまでもまったく把握できていません。
ほんとうに何だったんだ……。
とにかく設定といい物語といいアバンギャルドきわまりなく、もし何かの間違いで家族連れなどが見に来ていたなら、ただただ唖然とさせられるだけだったと思われます。
いや、面白かったけどさ。
『映画大好きポンポさん』


映画の都ニャリウッドを舞台に、映画プロデューサーの少女ポンポさんと、愚直に映画を作り出すことを目指す少年ジーンくんのコンビが「傑作」を生み出すまでを描いた作品。
おそらく映画史上類を見ない「編集」にスポットライトをあてた作品であり、オリジナルで独創性あふれるシロモノといって良いと思います。
公開前はあまり注目を集めているとはいえなかったと思いますが、じっさいに公開されてみると素晴らしい作品で、一転、高評価を集めました。
いろいろな意味でかなり「ひとを選ぶ」映画ではありますが、ぜひ、いま、見ておきたい一作といって良いでしょう。

(看板娘)
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