- 男は少女漫画を読まない?
- 男性にもオススメの少女漫画名作・傑作50選。
- よしながふみ『大奥』
- ふじた『ヲタクに恋は難しい』
- 小玉ユキ『坂道のアポロン』
- 清水玲子『秘密-トップ・シークレット-』
- 清水玲子『月の子』
- 樹なつみ『OZ』
- 樹なつみ『花咲ける青少年』
- 成田美名子『NATURAL』
- 川原泉『笑う大天使』
- 羽海野チカ『ハチミツとクローバー』
- 萩尾望都『残酷な神が支配する』
- 吉田秋生『BANANA FISH』
- 吉田秋生『海街Diary』
- 末次由紀『ちはやふる』
- 二ノ宮知子『のだめカンタービレ』
- 森野萌『花野井くんの恋の病』
- 田村由美『BASARA』
- 田村由美『ミステリと言う勿れ』
- 宇仁田ゆみ『うさぎドロップ』
- 高屋奈月『フルーツバスケット』
- 穂積『さよならソルシエ』
- おがきちか『Landreaall』
- おがきちか『エビアンワンダー』
- 矢沢あい『NANA』
- 竹宮恵子『ファラオの墓』
- 一条ゆかり『プライド』
- 日渡早紀『ぼくの地球を守って』
- 羅川真里茂『ニューヨーク・ニューヨーク』
- CLAMP『東京BABYLON』
- 高河ゆん『恋愛 REN-AI』
- 山岸凉子『舞姫 -テレプシコーラ-』
- アサダニッキ『青春しょんぼりクラブ』
- 津田雅美『彼氏彼女の事情』
- TONO『カルバニア物語』
- TONO『アデライトの花』
- ひだかなみ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』
- 今市子『百鬼夜行抄』
- 川原由美子『観用少女』
- 槇村さとる『おいしい関係』
- 佐々木淳子『ダークグリーン』
- かねもりあやみ『サチのお寺ごはん』
- 高瀬わか『かわいすぎる男子がお家で待っています』
- 田中メカ『朝まで待てません!』
- 橘裕『もしかしてヴァンプ』
- くらもちふさこ『駅から5分』
- 高尾滋『ディアマイン』
- 谷川史子『きみのことすきなんだ』
- 藤小豆『聖女の魔力は万能です』
- 紺野キタ『ひみつの階段』
- 林ふみの『新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド2nd』
- まとめ
- おまけ
男は少女漫画を読まない?
何だかTwitterで「男性は少女漫画を読まない」、「いや、読む」という論争が巻き起こっているようです。
これ自体、いままで何度も延々と繰り返されている話で、とくべつ興味がないので、リンクも張りませんが、まあ、読む人は読むし、読まない人は読まないという、それだけの話であることは自明でしょう。
もちろん、「少女漫画(笑)」みたいに少女漫画を一段下に見る人はいまでもまだ生き残っているかとは思いますが、おそらくサルから進化しそこねた手合いだと思われるので、無視して良いかと。
少女漫画は現代日本が生み出したおそらく最高の文化のひとつです。
とはいえ、まあ、なかなか手を出しづらいという人の気持ちもわかる。そこで、いまだ少女漫画の広大な沃野を知らない男性読者に向けたオススメ作品リストを作ってみました。
Googleさんに伺ってみるとすでに同種の記事がいくつも見つかるわけですが、まあ、さらにひとつ付け加えておいても悪くないでしょう。
ただ、ぼくも最先端の少女漫画にそこまでくわしいわけでもないので、過去の有名な名作が中心になってしまうのはどうしようもないですね。
ここら辺、つよく反省して新しい少女漫画をもっと読んでいきたいと思います。
まあ、市場がシュリンクし細分化した結果、往年の傑作に匹敵するようなものはなかなか見つけづらくなっているのもほんとうだとは思いますが。
あと、ネットに発表の場が移りつつあるいま、少女漫画、少年漫画といったくくりに何の意味があるのか、微妙なところでもあります。
『山田くんとLv999の恋をする』とか、面白いのだけれど、少女漫画に入れて良いのかなあ。中身はほとんど完全に少女漫画だけれど。
べつだん、ランキングというわけではなく、順不同です。おそらく抜けている作品もあると思うので、それらは今後、付け足していくかもしれません。
そういえば、『ガラスの仮面』と『エースをねらえ!』が抜けていますね。まあいいか。
ちなみに「ただ一作」ということなら、田村由美『BASARA』をオススメします。
ぼくは90年代以降に発表されたすべてのマンガで、「物語の筋立て」という意味では、これがいちばん面白いと思っている。ぶっちゃけ、『ONE PIECE』より面白い。
あらゆる意味でエンターテインメントの記念碑的傑作といって良いと思うので、ぜひ、どうぞ。
また、他の作品も読んでみてください。まだ見たことがない新しい領域が開くはずです。
男性にもオススメの少女漫画名作・傑作50選。
よしながふみ『大奥』
ぼくはよしながふみの良き読者ではありません。彼女の作品をあまりおもしろいと思って読んだことがない。しかし、そういうぼくでも、この作品のクオリティの高さには舌を巻きます。「男女逆転大奥」というところばかりが喧伝されますが、じっさいには本質はそこにはなく、「性」と「生殖」を巡る深遠な思想が展開しています。
ふじた『ヲタクに恋は難しい』
ある会社に勤める数人の「ヲタク」たちを主人公にした斬新なラブコメディ。もちろんオタクを扱った作品は他にもいくらでもあるわけですが、この作品の新しさは、全員がオシャレな美男美女であること。オタクという概念が変わってきていることを象徴的にあらわして大ヒットとなった一作です。
小玉ユキ『坂道のアポロン』
ジャズに夢中の少年少女たちの青春時代を描くラブストーリー。アニメにもなっていて、そちらのほうもなかなかの出来でした。音楽の魅力と、そして甘酸っぱい恋と友情を巡る物語は、忘れがたいものがあります。
清水玲子『秘密-トップ・シークレット-』
清水玲子の傑作サスペンス。少女漫画の世間的なイメージを内側から突き破るようなショッキングな展開が続きます。このアイディアをエンターテインメントに昇華できるのは凄いなあ。清水玲子作品はこの他にも『MAGIC』、『22XX』など、短編、中編の傑作も数多く、手に取りやすいと思うので、そちらもオススメです。
清水玲子『月の子』
ぼくはこれが清水玲子の最高傑作だと思う。はるか宇宙の彼方から地球を目ざしやって来た「人魚」たちを主役に据えた、現代の『人魚姫』。圧倒的に絢爛とした想像力が映し出すダークなストーリーは、やがて、チェルノブイリ原発事故を巡る物語にまで発展していきます。ひと組の恋人たちが紡ぎだす人類の未来とは? 注目の作品です。
樹なつみ『OZ』
「オズの前では、戦争すら退屈だ」。核戦争となって人類を滅亡に追いやった第三次世界大戦を経て、壊滅した未来のアメリカを舞台に、「オズ」と呼ばれる伝説の超科学都市を目ざす青年たちの物語。樹なつみの数ある代表作のひとつにして、少女漫画におけるSFの達成の里程標ともいうべき作品です。何より単純に面白い。オススメですね。
樹なつみ『花咲ける青少年』
『OZ』と同じく樹なつみの代表作。『八雲立つ』を選ぼうかと思いましたが、そちらは微妙にボーイズ・ラブっぽさがただよっていて男性向けとはいいがたいかもしれないとも感じたので、この作品を。絶世の美貌と秀抜な頭脳と莫大な財産を併せ持つ「花咲ける青少年」たちを中心とした国際謀略ものです。のちに描かれた番外編も読ませます。
成田美名子『NATURAL』
成田美奈子の代表作。成田さんといえば、あるいは『CIPHER』のほうが有名かもしれませんが、ぼくはこれがいちばん好きなのです。「善」と「悪」、「被害」と「加害」、人間にはその両面があるわけですが、そのあいだでひき裂かれた少年のストーリーです。
川原泉『笑う大天使』
川原泉さんにも大量に名作、傑作があり、特に短編に素晴らしい作品が多いのですが、今回はあえて長編から、『笑う大天使』を選びました。ある名門女子校に通う、庶民生まれの三人の少女たちの、快活な生活を綴るコメディ。ある意味、既存の少女漫画のパロディともなっていて、少女漫画を好きな人ほど楽しく読める作品であるはずです。
羽海野チカ『ハチミツとクローバー』
美大を背景にした何角関係なのかよくわからないくらい絡み合ったラブストーリー。羽海野チカの名前を知らしめた恋愛漫画の傑作です。「ハチミツとクローバー」という印象的なタイトルの由来は、ほんとうに最後の最後になって初めて明かされます。
萩尾望都『残酷な神が支配する』
家庭内性暴力の被害を受けた少年を主人公とした、天才作家・萩尾望都の「残酷な」名作。少女マンガ史上の最高傑作といっても過言ではないのではないかと。というか、全マンガのヒストリーのなかでも指折りの傑作といって良いでしょう。「被害者」と「加害者」が逆転しながら紡がれる暗黒のストーリーは、一読、世界を変えてしまいます。
以下の記事もどうぞ。
吉田秋生『BANANA FISH』
これも名作ですね。少女漫画史上、おそらくは一、二をあらそうエンターテインメント。天才的な頭脳を持ちながらストリートで生きるアッシュ・リンクスというキャラクターは、少女漫画が生み出した最高のヒーローといっても良いでしょう。
吉田秋生『海街Diary』
『BANANA FISH』と同じ吉田秋生の最新のシリーズ。『BANANA FISH』、『YASHA』といった天才を扱ったシリーズから一転して、鎌倉の街で暮らす四人姉妹の、あたりまえの日常生活を描いています。何気ない描写のひとつひとつが、天才的な鋭さを感じさせる、巨匠の仕事です。
末次由紀『ちはやふる』
「競技かるた」という、あまりひとの注目を集めないジャンルを中心にした物語です。少女漫画史上でも数少ないくらいの長期連載ですが、おそらくもう少しで完結するはず。映画化もされていて、そちらのほうもじつに素晴らしいクオリティでした。ぼくは映画のほうが好きかも。
二ノ宮知子『のだめカンタービレ』
テレビドラマ化されて有名になった作品なので、おそらく名前くらいはご存知の方が多いでしょう。きびしくもきびしい音楽の世界を舞台に、ひとりの、天才的な才能を持っているものの、性格は……な女の子「のだめ」を主人公とした物語です。コミカルでありながら本格的な描写に引き込まれます。
森野萌『花野井くんの恋の病』
これは現在連載中の作品ですね。少女漫画史上でも、『彼氏彼女の事情』の有馬総一郎に匹敵し、一、二を争うであろう「重たい男の子」を相手役に据えた作品です。ぼくはいままさにハマっているところです。ふつうの学園恋愛ものといえばそうなのですが、なんといっても男の子の重さが光っているので、ぜひ、お読みいただければ。
田村由美『BASARA』
冒頭に書いた通り、ぼくはこれが少女漫画のなかでも、あるいは少年漫画や青年漫画をも含めたすべての漫画の歴史のなかですら、最も面白いシナリオだと思っています。運命的に敵対しながら、その正体を知ることなく恋に落ちたふたり。かれらを待ち受ける壮絶な試練。いったん読み始めたら、もうページをめくる手を止めることはできません。
田村由美『ミステリと言う勿れ』
いままで壮大かつ壮絶なアドベンチャー・ストーリーをいくつも描いてきた田村由美の最新作は、なんと「ミステリ」。いくつもの謎が連鎖し、さらに大きな絵を描いていく構造は、この作家のまさに新境地です。この期に及んでさらに新しい次元を切り開くなんて凄すぎる。エンターテインメントの巨匠の大ヒット作。ドラマ化もされましたね。
宇仁田ゆみ『うさぎドロップ』
これは、少女漫画の歴史のなかでときどき出て来る「子育てもの」です。ある無骨なサラリーマンが、小さな女の子を育てることになってしまい、とまどいながらもいっしょに暮らしていくが、というお話。終盤の展開は賛否両論。まあ、むずかしいところですよねえ。
高屋奈月『フルーツバスケット』
白泉社の少女漫画のなかでもおそらくは最大のヒット作。最近、再びアニメになったりして、注目を集めもしました。少女漫画ではしばしば見られる「疑似家族テーマ」の作品で、あるひとりの優しい女の子を中心に、十二支の呪いにかかった一族の男女が心を癒やされていくプロセスが見どころです。
穂積『さよならソルシエ』
ヴィンセントとテオのゴッホ兄弟を主人公とした全二巻の作品。いや、これは、すごい話だよなあ。クライマックスはめちゃくちゃな展開だと思うのだけれど、どうだろう。いや、それはないでしょう。ありえないでしょう。と思うのだけれど、まあ、でも、すごい話ではある。良くもこんなことを考えたもの。いや、ほんとに。
おがきちか『Landreaall』
アトルリア王国の王位継承権第四位、公子DXと妹イオンを主人公に、既刊38巻を数え、まだまだ連載が続いていきそうなファンタジー大長編。このおがきちかさんという作家は、非常に特異な構成力を持った人で、『HUNTER×HUNTER』に比肩するような壮大な群像劇を描き出しています。むしろ男性にこそ読んでほしい作品。
以下の記事もご参照ください。
おがきちか『エビアンワンダー』
『エビアンワンダー』。『Landreaall』と同じおがきちかによるファンタジー。ただ、この作品の物語は『Landreaall』と比べるときわめてきびしく、また、シビア。「悪魔」と契約を交わして悪人の魂を地獄に追いやりつづけるある女性の放浪の物語であり、終盤には例によっておがきちか作品らしい逆転が待っています。
矢沢あい『NANA』
これも大ヒット作ですね。おそらく、少女漫画の長い歴史のなかでも最大のヒット作であるかもしれません。華やかな芸能界で活動するパンクロックバングを中心に、「ナナ」という名前をもつふたりの女性の人生を物語ります。惜しむらくは、未完。もうこの作品の完結を見ることはないだろうなあ。
竹宮恵子『ファラオの墓』
物語の背景となるのは古代エジプト。その地でくりひろげられる王子、王女たちの凄絶な戦いが、竹宮恵子ならではの筆致で物語られます。きわめてドラマティックな物語で、魅力的なキャラクターには事欠きませんが、そのなかでも印象的なのは暴虐の王子スネフェル。かれの悲劇的なロマンスは、きわめて深く印象に残ります。
一条ゆかり『プライド』
運命の変転から、ライバル同士となったひと組の女性たちの「プライド」をかけた花やかな戦い。一条ゆかりさんにはドラマティックな名作がいくつもありますが、そのなかでも最も新しいこの作品を選ばせていただきました。それぞれに歌い、恋をし、しのぎを削る誇り高い「女の戦い」を存分に味わうことができます。
日渡早紀『ぼくの地球を守って』
印象的なタイトルのこの作品は、「転生」、あるいは「生まれ変わり」をテーマにした作品のなかでも、最も有名なもののひとつでしょう。現代の地球と、遥か昔に過去に築かれた月面基地とを巡って繰り広げられるサイキック・アクションは、男性読者をも魅了するものがあるはずです。
羅川真里茂『ニューヨーク・ニューヨーク』
ニューヨークに暮らすあるゲイの警察官と、その恋人との波乱の人生を扱ったラブストーリー。となると、ボーイズ・ラブものかと思われるかもしれませんが、じっさいには、一般的なBLとはまるで読みごたえが違います。「同性愛」と「差別」を正面のテーマに据え、なみだなしでは読めない感動の物語を紡ぎ出した名作です。
CLAMP『東京BABYLON』
CLAMPからひとつ。あるいは『カードキャプターさくら』のほうが適当なのかもしれませんが、ぼくはこちらのほうが好きなのだ。花やかな時代の東京を舞台に、陰陽師の血族に生まれた少年と、かれの姉、そして暗殺者の若者のトライアングルを描く、珠玉の作品です。クライマックスにはきわめてショッキングな展開が待ち受けています。
高河ゆん『恋愛 REN-AI』
高河ゆんから一作。じつはこの作品がぼくの少女漫画ベストだったりします。すべてが直感的で、鋭く、印象的な作品。あるいはほとんどの男性にとってはばかばかしいだけの内容と思われるかもしれませんが、でも、これはほんとうにすごい作品です。ただ、実質的に未完に終わっていることが何とも惜しい。
山岸凉子『舞姫 -テレプシコーラ-』
もともとは『ダ・ヴィンチ』連載なので、これを少女漫画に入れるのは違うかもしれませんが、山岸凉子から一作。バレエに命をかける少女たちを描いた名作です。第一部クライマックスでの衝撃的な、まさに衝撃的な展開は忘れることができません。
アサダニッキ『青春しょんぼりクラブ』
少女漫画といえば、恋愛ものだというイメージを持たれている方も少なくないでしょう。『青春しょんぼりクラブ』は、まさに少女漫画の世間的なイメージをなぞるかのような、キュートなラブコメディ。読み続けている限り、楽しい時間を保障してくれます。
津田雅美『彼氏彼女の事情』
庵野秀明監督でアニメ化もされたラブコメ。というか、途中まではかなり面白おかしく読ませるラブコメなのですが、物語が全体の半分を過ぎたあたりから一気にシリアスかつサスペンスフルな展開へとなだれ込んでいきます。その、いわゆる「有馬編」の暗さ、重苦しさは、少女漫画誌上でもめずらしいほどのものかもしれません。
TONO『カルバニア物語』
これも大好きな漫画ですね。どこともしれぬ場所にある王国カルバニアの女王に即位することになってしまった女の子タニアと、彼女を補佐する美貌の公爵令嬢エキューの物語なのですが、きわめてリベラルかつ平等な価値観に驚かされます。ぼくはこれは理想的なフェミニズムの教科書だとすら思う。ネットの「ツイフェミ」に反発する向きにもおすすめの一作。
TONO『アデライトの花』
こちらもTONOさんの作品で、現在連載中の一作です。「花の病」と呼ばれる、なぞめいた、恐ろしい病によって、壊滅していく人々の関係が、冷酷ともいえるほど淡々とした筆致で物語られています。衝撃的なまでに素晴らしい大傑作なので、ぜひ、お読みくださいませ。
ひだかなみ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』
「小説家になろう」の「悪役令嬢もの」は、現在、少女漫画のフィールドでたくさん新刊が出ていますが、そのなかでも傑出した作品といえばこれ。カタリナ・クラエスという主人公は、おそらく現代少女漫画でも最高の傑物いって良いのではないでしょうか。その他のヒロインたちもひと癖ありながら可愛いらしいので、男性の方でも楽しく読めるはずです。
今市子『百鬼夜行抄』
いわゆる「ホラー」に属する作品なのでしょうが、ただひたすらに怖いというのともまたひと味異なる、「奇妙な味」としかいいようがないような漫画です。怪奇で残酷なストーリーであることは間違いないのですが、その一方でどこか不思議な、ちょっと説明しようがない感覚。ご自身でお確かめいただければ、と思います。
川原由美子『観用少女』
「観用少女(プランツ・ドール)」と呼ばれる「生きた人形」を巡る人々のさまざまな人生を連作短編の形式で綴った作品。とにかく何といっても、圧倒的に美しく、また可憐な「少女」たちが魅力的。これこそ少女漫画!といいたいような作品ですね。
槇村さとる『おいしい関係』
父親を喪ったことから、料理の道へ進むこととなったひとりの女性が主人公。彼女は、ある天才的なシェフの男性と知り合うのですが、その男の性格は最低で、と続きます。クライマックスの展開がきわめて感動的で、ぼくは何度読んでも心震えます。槇村さとるにはいくつも傑作がありますが、そのなかでもやはりこれが最高かと思いますね。
佐々木淳子『ダークグリーン』
SF。ひとことでいうならSFなのですが、ちょっとネタバレなしでは説明しきれないような奇妙な物語です。とにかくヴィジュアル的なインパクトが強烈で、悪夢に見てしまいそうなイメージがいくつも登場します。ぼくにとってはなまじのホラーよりも怖い作品ですね。
――と、ここで終わりの予定だったのですが、何だか妙に反響が大きく、かなりアクセスも集まっているので、サービス(?)としてもう10作追加しておきます。
それも下のほうで「次点」として挙げている作品はすべて没とし、一から考えなおしました。がんばった! では、どうぞ。
かねもりあやみ『サチのお寺ごはん』
お料理系からひとつ。お寺でありがたいお話を聴きながら美味しいごはんをいただくというお話です。カップリングが予想していたのと違う方向へ行っていてちょっと面白いですね。いやあ、あの人とくっつくものだとばかり思っていたのだけれどなあ……。
高瀬わか『かわいすぎる男子がお家で待っています』
たまにある「年下男子」系統の収穫。アイドルオタクつながりで知り合ったふたりが恋に落ち、その人生が変わっていくというお話。ヒロインというか主人公の女性が強く、凛としていて素晴らしいです。まあ、抜けているところは抜けているのですけれどね。
田中メカ『朝まで待てません!』
漫画編集者のカップルを描いたラブコメ。とにかくヒロインの女性が可愛い。そりゃこんな子の彼氏だったら頑張りたくもなるよなあ、と思うくらい。この次の『もしかしてヴァンプ』などもそうですが、非常に一部の男性にウケる作風なのではないかと思います。
橘裕『もしかしてヴァンプ』
タイトルからわかる通り、吸血鬼ものの「ちょっとエッチ」でライトなラブコメディ。女の子が可愛くて、男の子がやたらにかっこいいという、何かの王道的な作品です。この人、ほんとに女の子を描くの好きだよな。愛があることを感じますね。
くらもちふさこ『駅から5分』
くらもちふさこによる、実験的な作風の作品。くりかえし読むことによって味が出て来る、そういうマンガです。くらもちさんの作品は、古典的名作の『いつもポケットにショパン』などもオススメですが、あまり男性読者ウケはしそうにない予感がするので、こちらを。
高尾滋『ディアマイン』
年下もの。というか、ショタもの? ツンデレな大富豪の少年がヒロインに対しひたすら純愛をささげる物語です。いい子だなあ。この作家さんには、何となく百合っぽい作品や、ふんわりとBLっぽい作品もあるので、もしこの作品が気に入られたら、そちらもどうぞ。
谷川史子『きみのことすきなんだ』
いまではこの業界のベテランになった印象のある谷川史子さんの初期作品からひとつ。爽やかなラブコメディです。いいよね! この頃の谷川さんの作品では、ある作品の脇役がべつの作品で主役を張ったりする展開があって、それも魅力だったりしました。
藤小豆『聖女の魔力は万能です』
これも「小説家になろう」掲載作品原作の漫画ですね。悪役令嬢ものならぬ「聖女」もの。「聖女」である主人公が、意を決してそれまで隠していた正体をあらわにする場面が感動的で素晴らしいです。イケメンが苦手でなければ、男性読者でも問題なく楽しめると思います。
紺野キタ『ひみつの階段』
百合です。百合なのですが、まあ、それほどディープな描写があるわけではなく、ごくかるく女の子たちの秘密の世界をのぞき見れるような、そういう作品ですね。何人も個性的なキャラクターが登場するので、お気に入りを探してみるのも楽しいのではないでしょうか。
林ふみの『新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド2nd』
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のカップリングに納得がいかなかったあなたに朗報! ここにあなたの求めるシンジ×アスカがあります! シンジとアスカがラブコメをする世界線の話で、最後まで読んでも人類補完計画の謎とかは特に解けませんが、ふたりのいちゃいちゃを楽しめます。
まとめ
そういうわけで、全40作+10作、いかがでしたでしょうか。
どうしてもひと言程度の記述にとどまってしまうことになりましたが、どの作品もほんとうに面白く、男性でも問題なく楽しめることと思うので、もし良ければ手にとってみてください。あたらしい世界への扉が開けることと思います。
この他にも、『図書館戦争』、『昭和元禄落語心中』、『こどものおもちゃ』、『かわいいひと』、『町でうわさの天狗の子』、『君が死ぬまであと100日』、『星の瞳のシルエット』、『メタモルフォーゼの縁側』、『ライアー×ライアー』、『町田くんの世界』などが次点として思いついていたのですが、いいかげん書くのに疲れたので落としました(この記事は一気呵成に勢いで書いています)。
いずれまた、付け加えることもあるかと思います(付け加えました)。とりあえず、きょうの時点ではこれで終わりとさせていただきます。では。
おまけ
ミナモトカズキ『三十路ゲイ、勃たたなくなりました。』
おまけです。ぜんぜん少女漫画じゃないじゃん!というタイトルであり、またじっさい中身もそうなのですが、この人、少女漫画家なんですよ。ゲイなんですけれど。この本、個人的に非常に面白い内容だったので、併せて紹介しておきます。勃起不全の怖さを感じます。ある意味、男性向けかと。